世間の視線は金融機関の問題から、事業会社の業績悪化に注目が移っているようです。
当然の展開として、この先はボーナスカットとか減給とかリストラの話題が新聞やマスコミを騒がせるようになるのでしょう。
ということで(?)、今回は(今回も?)システムトレードからちょっと離れたお話を。
●サラリーマンの株式投資が失敗する理由
雇用指数は景気の遅行指標の代表例で、逆に株価は先行指標ですから、投資と無縁な一般のサラリーマンにとっては今回のリセッションの影響を実感として感じるのは、もう少し先の話になるわけです。
そしてこれが、大多数の個人投資家、つまり相場専業でないサラリーマンが株式投資(長期投資)に失敗する理由でもあります。
「給料も上がってボーナスも大きくなって手元のお金に余裕があるから株でもやってみようか」とサラリーマンが株をはじめるときは、まさに好景気の頂点です。どうしたって高値で買わざるを得ません。
逆に、不景気で給料がカットされて住宅ローンの返済が苦しくなったりして手持ちの株を売った時が、まさに不景気の大底、というわけです。
遅行指標と順相関してキャッシュが増減する、というのはサラリーマンの宿命みたいなもので、知識やテクニックで覆すのが難しい問題です。
●インデックス投資で広まったドルコスト平均法
たしか2006年辺りからだったと思うのですが、個人投資家の間で国債分散インデックス投資が流行しだしました。そしてその時にほとんど常にインデックス投資とセットで語られていた(いる)のが「ドルコスト平均法」です。
一応説明しておくと、ドルコスト平均法とは、価格(株価)に関わらず常に一定の金額を定期的に買い増ししていく方法です。
たとえば一ヶ月につき1万円だったら、必ず毎月1万円分を買います。なので価格が安い時は買い付け数量が多くなりますし、逆に高ければ数量は減ります。そうして延々と積み立てていくわけです。
この「ドルコスト平均法」こそが前述の、遅行指標と順相関してキャッシュが増減する、というサラリーマンの致命的な弱点を克服しうる唯一の手法と言えます。
最低投資単位の問題から、事実上投資信託しか選択肢が無いのが唯一の欠点ですが、相場で見果てぬ夢を追う(たとえば僕のようにw)のではなく老後の資金を作る等の目的なら、最善の選択肢はインデックスファンドでしょうから、唯一の欠点も大した問題ではありません。
さて、ドルコスト平均法さえ愚直に実行していれば、サラリーマンの弱点は本当に克服できるのでしょうか。それが、そう簡単にはいきません。
実は、ドルコスト平均法を上手に実行するのは、ものすごく大変なのです。
●ドルコスト平均法のデリケートな問題
ドルコスト平均法を使った(インデックス)投資を行なう場合、通常かなり長い投資スパン、10〜30年くらいを想定することが多いと思います。
実際問題として、この長い投資スパンで完全に同じ金額で買い付けを続けるというのは、あまり現実的ではありません。
たとえば22歳の新入社員シンゾー君がドルコスト平均法でインデックス投資を始めたとしましょう。
初任給は手取りで18万円。あまり余裕が無いので月々1万円で買い付けすることにしたとします。
そして10年後、32歳のシンゾー君は中間管理職になって給料も月40万円です。それでも月々1万円を続ける、というのは現実的でしょうか? さらに10年後、給料が60万円になってたら?
どこかで買い付け金額を増やさないとバランスが悪いし、投資金額があまりに過小になりすぎます。
では一定金額ではなくて、給料の一定比率、たとえば10%を買い付けに回す、というのがいいのでしょうか?
給料がキレイな右肩上がりなら(別に右肩下がりでもいいですが)それで問題無いでしょうが、会社の業績につられて給料がウハウハになったり、逆に不景気で大幅減給なんてことになったら、それに合わせて買い付け金額が増減してしまいます。
これでは最初に問題にしたサラリーマンの弱点「遅行指標とキャッシュの増減が順相関」が再燃してきます。
どちらの方法も問題があって、完璧ではありません。
すでに現在ある程度高い所得を得ている人は、一定金額で多めに買い付けしたらいい、と思うかもしれませんが、買い付け金額が高すぎると景気の悪化と呼応して一定金額の買い付けが維持できなくなるかもしれず、そうしたらまたもサラリーマンの弱点が再燃してきます。
●解決案はさまざまだが……
どういう解決策を取るかは、完全に人それぞれのお金に対する、あるいは人生に対する考え方しだいだと思います。
僕としては、↓のような案がいいのではないかと考えています。参考になれば幸い、といってもこの案自体が非常にあいまいなんですけどね(汗)。
一定金額の買い付けを基本にして、毎年一定比率で買い付け金額を上昇させていく。毎年の上昇率は↓の各要素の兼ね合いで算出した比率を元にする。
・予想年収増加率
……短期的に考えるのではなく、退職時の予想最終年収から逆算する↓。
年収増加率 =((退職時の予想最終年収/現在の年収)−1)/残り勤務年数
・将来年収のボラティリティ
……自分の過去の年収のボラティリティを基準にするのではなく、勤務先の会社のセクター分析とかを参考にする。景気循環株かディフェンシブか、とか。上場企業ならまさに自社株のボラティリティを参考に、非上場でも同業の上場企業を参考にする。
できれば倒産して再就職する場合の年収のボラティリティも加味したい。
本当に難しいです。
正直、僕の個人的な考えでは、インデックス投資で最も難しくて最も重要なのが、ドルコスト平均法の買い付け金額とその上昇率の設定だと思っています。
ただ、僕がざっと見た限りでは、巷のインデックス投資本やサイトは、この点をあまり深く解説してないんですよね。
どっちかと言うと、アセットアロケーションやリバランスについてオタク的に深く突っ込んでる場合が多いような……。
そういうのは、それこそファンドに任せておけばいいじゃん、とか思うんですけどね。門外漢の僕の、ピント外れな考えなのかもしれないですが……。
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インデックスとドルコスト平均法の組み合わせは、相場に無頓着でいたい人にとっての最強の投資法ですが、こういう問題もあるんですね。
アセットアロケーションやリバランスの問題は、そこに突っ込んでいく時間と脳みそがあるなら、個別株投資をやった方がいいような気がします。
もちろん、「平均」に勝てる保障は全くないわけですが。w
問題はあれど、考えるのが面倒臭い人のための投資法でしょうから、一定比率というのが一番しっくりきますよ。
景気の悪い時には、お小遣いを削って将来のために投資額を少しでも増やしておいたらどうですか、くらいのアドバイスを添えて。
あるいは、景気の悪くなった時に追加投資するための資金も積み立てておきましょう、かな。
日経5000円説も飛び出してますね。
3000円台覚悟なんていう社長さんもいました。
なんだか逆バブル状態みたいで、ゾクゾクしてます。
個人間でのインデックス投資の「流行」に関しては、時期的になんとなく陰謀論を考えたくなる部分もあるんですが(笑)、今でも友人知人が「株とかやりたい」と言い出したら、僕はいつもインデックス投資を薦めてます(自分はやってないくせにねw)。
個別株投資でしかも長期保有の場合、財務諸表の分析とかこれまたやりだしたらキリが無いわけですけど、最終的に物を言うのは、投資先の経営者への信頼と事業に対する愛、だと思っています。
B/SやP/Lの数字の有利さだけを見て、フォローの時もアゲインストの時も10年20年と持ち続けるのはやっぱり精神的に不可能だと、最近は思っています。
その辺が、僕が金太郎さんのブログを好きな理由でもあり、僕自身は個別株の長期投資を諦めた理由でもあります(僕は数字を眺めてトリップする人種ですw)。
日経は……どうでしょう?僕にはさっぱりw
ただ、世界的な高ボラティリティの状況は今後もかなり長く続くのではないか、と思っています。
その辺はまたブログのエントリでも。